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一般にΓ関数は \[ \tag{A.1} \label{gamma def} \Gamma(x) = \int_0^\infty e^{-t}t^{x-1}dt \quad(\Re x\gt0) \] で定義されます。
特筆すべき性質として、以下の3つがあります。
性質1は部分積分によって示せます。 実際、 \begin{array}{rcl} \Gamma(x+1) &=& \displaystyle \int_0^\infty e^{-t}t^xdt \\ &=& \displaystyle \left[ -e^{-t}t^x \right]_0^\infty - \int_0^\infty-e^{-t}x^{t-1}dt \\ &=& \displaystyle x\int_0^\infty e^{-t}x^{t-1}dt \\ &=& x\Gamma(x) \end{array} です。
性質2はガウス積分 \[ \int_{-\infty}^\infty e^{-ax^2}dx = \sqrt{\dfrac{\pi}{a}} \] を用いて示します。 \(t=s^2\) の変数変換によって、 \begin{array}{rcl} \Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right) &=& \displaystyle \int_0^\infty e^{-t}t^{-1/2}dt \\ &=& \displaystyle \int_0^\infty e^{-s^2}\dfrac{2sds}{s} \\ &=& \displaystyle \int_{-\infty}^\infty e^{-s^2}ds \\ &=& \sqrt\pi \end{array} が得られます。
性質3は、 \[ \Gamma(1) = \int_0^\infty e^{-t}dt = 1 \] 及び性質1から、 \begin{array}{rcl} \Gamma(n) &=& (n-1)\Gamma(n-1) \\ &=& \cdots \\ &=& (n-1)(n-2)\cdots1\cdot\Gamma(1) \\ &=& (n-1)! \end{array} と示ます。 特にこの性質3のゆえに \(\Gamma\) 関数は階乗の一般化と捉えられます。
Β関数 (ベータ関数) は、 \[ \tag{A.2} \label{beta def} B(x,y) = \int_0^1t^{x-1}(1-t)^{y-1}dt \] によって定義されます。
特筆すべき性質として以下の3つがあります。
性質1は定義式\eqref{beta def}にて \(t\mapsto1-t\) の変数変換を行えば直ちに得られます。 性質2は \(t=\sin^2\theta\) と変数変換すればいいですね。 性質3の証明は上記2つと比べて比較的難しいです。 まず変数変換 \(t\mapsto x^2\) によってΓ関数は \[ \Gamma(p) = \int_0^\infty2e^{-x^2}x^{2p-1}dx \] となります。 よって \[ \Gamma(p)\Gamma(q) = \int_0^\infty \int_0^\infty 4e^{-(x^2+y^2)}x^{2p-1}y^{2q-1}dxdy \] です。 これを2次元極座標 \((r,\theta)\) へ変数変換して、 \begin{array}{rl} & \Gamma(p)\Gamma(q) \\ =& \displaystyle \int_0^\infty rdr \int_0^{\pi/2} d\theta4e^{-r^2} (r\cos\theta)^{2p-1}(r\sin\theta)^{2q-1} \\ =& \displaystyle \int_0^\infty2r^{-r^2}r^{2(p+q)-1}dr \int_0^{\pi/2}2\sin^{2p-1}\theta\cos^{2q-1}\theta d\theta \\ =& \Gamma(x+1)B(x,y)\quad\because(\text{性質2}) \end{array} となります。 特にこの性質3によって、Γ関数の加法定理 \[ \tag{A.3} \Gamma(x+y) = \dfrac{\Gamma(x)\Gamma(y)}{B(x,y)} \] が得られます。
Β関数やΓ関数は積分において強い力を発揮します。 ここでは応用例を1つ挙げておきましょう。 \[ \tag{A.4} \int_a^b(x-a)^m(b-x)^ndx = (b-a)^{m+n+1}B(m+1,n+1) \] これは左辺を \(t=(x-a)/(b-a)\) と変数変換することによって \[ \int_a^b(x-a)^m(b-x)^ndx = \int_0^1(b-a)^{m+n+1}t^m(1-t)^ndt = (b-a)^{m+n+1}B(m;1,n+1) \] となることから右辺が得られます。