pdf版はこちらから。 相互参照やハイパーリンクなどをしっかり入れています。 また学習進度に合わせてレベル分けなども行っていますので、ぜひご参照ください。
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「あくまで物理を学ぶ人向けに、しかし必要なら論理を追えるように」と意識して書き進めたら、気づけば pdf が 50 ページにも及んでいました。 これでも加法定理が入っていないことを思うと、特殊関数が恐ろしくてなりません。 学部物理での応用場面を網羅するのであれば、加法定理のみならず、非定常な波動方程式の展開も入れるべき。 しかし、非定常波動方程式の展開にはベッセル関数やノイマン関数といった、別系統の特殊関数が必要になります。 その説明も加え出すと、当然分量は倍になって、ついには本一冊が出版できるレベルにまで到達していまいかねません。
数々の微分方程式を解くために強力なツールとなる微分方程式ですが、それは微分方程式がまともに解けないから強力なツールとなってしまうわけです。 特殊関数という飛び道具を使って解けるというだけでも、本来ありがたいと思わなければならないものなのでしょう。 実際ナビエ・ストークス方程式をはじめとして、世の中には解けていない物理の方程式がいくらでも残っています。 これから研究へと足をすすめていく人間にとって、特殊関数とはランダウの言う「数学的な難しさ」を克服するためのツールであって、「肝心の問題の物理的難しさ」に尽力するには、是非とも身につけておかなければならないもののはずです。
特殊関数の勉強に面白みが微塵もないのは仕方ありません。 はじめは「勉強してるとルジャンドル多項式がいっぱい出てくるから、ちゃんと理解しとかないとな」と思って始めましたが、まとめているうちに「ルジャンドルだけで立派に小冊子作れるんじゃね?」と思い始め、気づけば小冊子が出来上がっている始末。 もはや仕事になっており、執筆後半では「勉強したい」という思いよりも「執筆作業を仕上げたい」の一心で筆をとるようになっていきました。 一度形になってしまうと、なかなか読み返す気にもならず、推敲には大変苦労した記憶があります。
そのためアラが目立つこともあるでしょう。 読んでいくうちに「ここおかしいんじゃねぇの?」と思うことは一度や二度ではないと思います。 誤植・質問等ありましたら、どうかご遠慮なさらず、連絡いただきたいです。
これから本記事を読む皆様へ、どうか御覚悟のほど。 特殊関数は本当に退屈ですよ。